さぁここから電気の話に入って行くわよ? 最初に紹介する子はこちら! 電荷の単位、クーロン(C)よ。電気を勉強したての人には馴染みがないかもしれないけど、トップバッターはこの子しか考えられないわ。この電荷の存在が、全ての電磁気現象を引き起こしているからよ。

 細かい話に入る前に結論を言うわ。電荷は、電子などの限られた物質だけが持っているもので、その辺の石コロが質量を持ってるのと同じように、電子は電荷を持っている。だから「なぜ電荷は存在するのか?」に答えはない。

 もう、こうとしか言いようがないのよ。石コロも窓ガラスも洗濯バサミも電荷を持ってないけど、電子は電荷を持っている。なぜか? 電子はそういう物質だから。だけど、さっきも書いたように、電荷の存在が全ての電磁気現象を引き起こしているのよ。電流や電圧との違いはそれぞれのページで触れていくけど、電荷の動きそのものが電流で、電荷を動かすためのエネルギー的なもの(あくまで「的なもの」ね)が電圧よ。


 ぶっちゃけこれまでの話だけで十分なんだけど、一応細かい話に入っていくわね。電荷の定義を某ネット百科事典で見ると、「物体が帯びている静電気の量であり、また電磁場から受ける作用の大きさを規定する物理量である」と書かれてるわ。でもこれで「静電気」とか「電磁場」の意味を調べにいくと堂々巡りになる。静電気は物体が電荷を帯びることで起こるものだし、電磁場も、電荷が存在するために発生するものだからよ。

 じゃあ電荷ってなんじゃいってところだけど、こればかりは本当に、「全ての電磁気現象の元になっているもの」としか言いようがないの。最初の方でも書いたけど、力学で言うところの質量に近い存在と言えるわ。ただ、質量は全ての物質が持っていることに対して、電荷を持っている物質は限られてる。電子、陽子、それからイオンぐらいね。(ミクロの世界にはもっと色々あるけどそこに触れるのはやめとくわ)

 電子とか陽子が持ってるなら私たちの体とか石コロにもあるじゃんって言いたいところだけど、電子がマイナスの電荷を、陽子がプラスの電荷を持ってて、原子の中で打ち消し合ってるからゼロクーロンになっちゃう。だから人間とか石コロとかいう見方をすると、電荷は持ってないわ。私たちが普段使ってる電気は、金属に原子核からの束縛が弱い電子がいるから、電圧をかけるとそれを移動させることができるの。そして、電荷の移動そのものが電流よ。

 じゃあ何で電子は電荷を持ってるの? って聞かれたら、答えられない。その辺の石コロが質量を持ってるのと同じように、電子は電荷を持ってるの。これ以上の説明はできないわ。神様が物質に質量を与えたのと同じように、選ばれし戦士だけには電荷も与えられてるのよ。

 電子1個が持ってる電荷の大きさは決まってて、1.60 × 10-19クーロンよ。10-19っていうのは、1÷1019のことね。1兆分の1の、さらに千万分の1よ。かなり小さいけど、電子が動く時っていうのは大量に動いてるから、普通に何アンペアとか何十アンペアとかいっちゃう。ちなみに、電子もちゃんと質量を持ってるわ。9.11 × 10-31キログラムよ。かっるいわね。

 ちょっと前にサラッと触れたけど、電子が持ってる電荷はマイナスよ。マイナスって何だよって話だけど、「電荷の移動そのものが電流」だから向きを定義しなきゃいけないのよ。で、何でマイナスなのかと言うと、電流の流れる方向と電子の移動が逆だからよ。
 私たちが普段電子を見ることがないように、かつての学者たちも電流を先に発見した。で、実験した時に「こっちからこっちの向きをプラスの電流にしよう」って定義したんだけど、そのあとの未来で、電子がそれとは逆方向に動いてたことが分かった。その頃にはもう電流の向きを定義し直すことができないぐらいに色々確立されてて後戻りできなかったから、電子の持つ電荷をマイナスに定義しちゃったわけ。


 シメに入るけど、前のページであれだけ単位が大事とか言ってて書いてなかったわね。クーロンをSI基本単位だけで表すと、

[C] = [ A· s ]

よ。これ自体に大した意味はなくて、むしろ [A] = [ C / s ] の方が重要になってくるわ。という訳で次から電流の話に入っていくわね。